消費者物価指数とは、何なのか

 「物価が上がった」「物価が下がり続けているので、デフレに陥っている」などの物価に関連するニュースをよく聞きます。今日はその物価ついての話をさせて下さい。買い物をすることが多い現代人は物価に敏感です。けれども「物価への反応」は個々人によって差があり、お金に執着しがちな人は、物価に敏感だったりします。

 政府は将来の経済政策を行う上で、「国全体の物価の状況」の数字を欲しています。個々人の物価への反応といった主観的なものではく、国全体に存在するあらゆる物やサービスの価格を調べてまとめあげられた客観的な数字です。そしてそれが物価下落の傾向を表すものだったら、「日本はここ最近デフレ(物価下落)なので、金利を下げたり、公共事業を次々と行っていこう」という政策判断が下せるのです。物価の動向は、経済政策を左右します。

 では政府が経済政策の内容を決める上で、根拠となっている「物価」とは、一体どういう内容のものでしょうか。
*今回は記事を作成するにあたり、総務省統計局のサイトの情報を参考にさせて頂きました

 その根拠となる「物価」は、消費者物価指数(英語名:Consumer Price Index。略して“CPI”として表記されます)というもので表現されます。基準年の物価を100として、それと比較して表された当月(当年)の指数が、「当月(当年)の消費者物価指数」です。今現在の、基準年は2010年です。例えば「2013年11月の消費者物価指数は100.8」というように表現されます。肝心のその数値の求め方ですが、かなり複雑なので、ここではその説明を省きます。ただあらゆる物やサービスの価格を毎月調べあげて、計算してまとめて、指数という形で表されているのが消費者物価指数です。100人ぐらいの消費者を役所の会議室に集めて、「全体的に物価が上がっていると思いますか?」などの主観的な声を聞いて、まとめた指数ではないのです。だから消費者物価指数は、経済政策を作る官僚や日本の金融を司る日本銀行、銀行や証券といった金融業界の人達から厚い信頼を得ています。ちなみに作成しているのは総務省の統計局です。

 消費者物価指数は「2013年11月の消費者物価指数は100.8」という形で表現されるものでした。しかしその形で私たちに説明されてもピンと来ないのが実情です。そこで消費者物価指数を「前年同月対比」という形に加工して、総務省統計局は私たちに伝えています。例えば新聞や雑誌では「2013年11月の物価は、昨年11月に比べて1.5%上昇した」という原稿にして、世間に広めさせています。また「物価上昇率1.5%を達成した」とも表現されます。よくマスコミで言われている「物価上昇率」は、このような場面で使われる言葉だったのです。日本銀行が目指している「2年で2%の物価上昇率」の物価上昇率も同様です。物価上昇率とは、「消費者物価指数を前年同月対比に加工したもの」といえます。

 「前年同月対比」は社会人、特に営業職の方であれば、忘れたくても忘れることのできない言葉です。「前月よりだいぶ寒くなったので」などの季節要因の言い訳ができないよう、「同じ季節要素を持つ前年同月の数字」が当月成績の比較対象として持ち込まれます(ex、今年1月の営業成績の評価は、昨年1月の営業成績と比べて、実施される)。前年同月より売り上げが良いかどうかが、営業職の人間にとって重要なのです。「物価」の表し方は、世間で親しまれているこの「前年同月対比」の形が採用されています。

 そして「●●%上昇」の●●の数値の求め方ですが、変化率と言いまして、「当月の指数-前年の同じ月の指数」÷「前年の同じ月の指数」×100の計算式を用いて求めます。繰り返しますが、2013年11月は「前年同月対比で1.5%上昇」したとマスコミで報道されていました。その数字の出され方を確認しましょう。2013年11月の消費者物価指数自体は100.8で、2012年11月の消費者物価指数は99.2でした。それらを先の計算式に入れ込むと、「100.8-99.2」÷「99.2」×100で、答えは1.61%となります。残念ながら、公式発表1.5%と数値が異なってしまいました。おそらくもう少し複雑な調整を総務省統計局ではしているのでしょう。しかし大まかな計算は、このやり方で行われています。

 ここで気を付けたいのが、「前年同月の数字が高過ぎた」「前年同月が低過ぎた」場合です。これまで見たように物価の動向は、比較を通じて表されます。「当月」(当年)物価の勢いだけではなく、比較対象である「前年同月」物価の勢いも、非常に重要です。当月の消費者物価指数(前年同月対比)が高くても、その要因が実は「前年同月の数値が低過ぎた」ことにあるかもしれないのです。前年同月の数値が高くなかったか、低くなかったかの確認も物価動向を見る上で必要になってきます。

 ここまでの話をまとめます。マスコミの経済ニュースでよく出てくる「物価」とは、細かな調査作業のもとでまとめあげられた消費者物価指数によって表されて、客観性を担保されています。また私たちに分かりやすく説明する為に、消費者物価指数を「前年同月対比」という確認しやすい形に加工して、総務省統計局は提供しています。

 重要な消費者物価指数ですが、実はその構成内容によって「3つ」の呼ばれ方があります。つまり「3つ」の消費者物価指数が存在するのです。「総合」「生鮮食品を除く総合」「酒類を除く食料及びエネルギーを除く総合」の3つです。3つそれぞれ指数を構成する品目が異なっています。その為、それぞれの消費者物価指数の数値も異なってきます。2013年11月の消費者物価指数(前年同月対比)は、「総合」は1.5%、「生鮮食品を除く総合」は1.2%、「酒類を除く食料及びエネルギーを除く総合」は0.6%となっています

  「総合」とは、名前の通り、国全体のあらゆる物やサービスの価格をまとめた消費者物価指数のことです。「全て」の品目が入っています。先ほどから書いてきた「消費者物価指数の数値」は、全て「総合」の消費者物価指数の数値です。

 次に「生鮮食品を除く総合」ですが、これも名前の通り「総合」の品目から「生鮮食品」を除いて、計算された消費者物価指数のことです。「生鮮食品」とは、生鮮魚介と生鮮野菜と生鮮果物のことです。この3つは、ご存じのように「時の景気」よりも「時の天候」により、価格が大きく変わる性質を持っています。海が何日も荒れれば、漁ができず、魚の供給が少なくなり、魚の価格は高くなります。野菜や果物は、雨が降らなければ出荷できる量が減り、魚と同様価格が高くなります。逆に豊漁や豊作の時は、供給過多で値崩れします。またこれらの価格の変動が1年の間に頻繁に起きるのも特徴です。とはいえ天候による生鮮食品の価格変更は、実態の経済とは関係が薄いです。そこで「価格変動が大きい生鮮食品を除いた形の物価動向を見たい」という需要に応える形で、生まれたのが「生鮮食品を除く総合」の消費者物価指数です。「総合」より、実態の経済に近い物価動向を表しています。経済の「核心」に迫った消費者物価指数ということで、別名、コア(core=核心)指数と呼ばれています。

 最後の「酒類を除く食料及びエネルギーを除く総合」ですが、これも名前の通り、「総合」の品目から「酒類を除いた食料品」と「エネルギー」を除いて、計算された消費者物価指数のことです。「食料品」とは説明が不要でしょうが、私たちの食費に相当するもので、重要な品目です。それが省かれています。一方の「エネルギー」とは、電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油およびガソリン代のことです。光熱費やガソリン代であり、これも重要な品目です。私たちにとって、生活の上でこれら食費や光熱費はいつも気に掛ける所であります。そんな重要な品目を除いた、消費者物価指数が一体何の役に立つのかと疑問に思うかもしれません。

 先ほどの生鮮食品の次に価格変動が大きい品目として、生鮮食品以外の食料品や光熱費などのエネルギーが挙がります。実際、家電用品やサービス業の料金に比べて、その時々の状況で食料品やエネルギーの価格は変わりやすいです。主な要因は為替です。食料自給率が40%前後で食料の多くを輸入して、エネルギーの素にしている石油や天然ガスをほぼ全て輸入にしている日本は、円安が進めば、当然輸入代金を多く払うことになります。その分食品会社とガソリンスタンドは、食料品やガソリン代の価格に転嫁しますので、物価を上げることになります。円高の場合は、その逆になり、物価を下げていきます。そういうこともあり、食料品とエネルギーは価格変動が起きやすいのです。

 実態の経済と、食料品やエネルギーの価格変動の関係が薄いと見なすことで、作られたのが「酒類を除く食料及びエネルギーを除く総合」です。別名、コアコア指数と呼ばれています。つまり、経済のよりさらに「核心」に迫った消費者物価指数という意味です。物価が上がる要因の1つとして、人々が持つ「景況感の良さ」があります。景気が良いと思えば、人々は物を買い、それに伴い物の価格も上がっていくという理屈です。天候要因、そして為替要因を取り除いたことで、人々の「物を買おう」とする核心的な気分を確認できる数値とされています。この消費者物価指数が上向けば、明らかな好景気に入ったと判断することができます。「酒類を除く食料及びエネルギーを除く総合」の消費者物価指数とは、より「真の需要」を確認できるものなのです。この別名コアコア指数は、是非おさえておいたら良いと思います。

 物価の見極めは、景気の判断に役立ちますし、今後の金利の動向も分かってきます。物価が上がれば、当然金利も上がっていきますので、住宅ローンを変動金利で借りている人は要注意です。様々な経済指標がありますが、とりあえず私たちはこの物価動向つまり消費者物価指数だけを、確認しとくこと。それが生活の上で役立つと考えています。
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